奈良吉野にある下市病院(精神科264床)のサテライトクリニックとして、橿原神宮前の駅前賃貸ビルの1階を改装するプロジェクトである。
いまや、心療内科は現代を生きる我々にとって、不可欠な診療科目だが、敷居をまたぐのには、まだまだ勇気がいるものである。そこでクッションスペースとしてバスを待ったり、お茶を飲みながら、「心の病」の情報を検索したり、交換したり、気軽に相談できる場として、全面ガラス張りのギャラリーをエントランスに設定した。そこにクリニックの受付窓口を設けている。
その先が待合スペースとなっており、限られたスペースだが、細かくゾーニングすることで、プライバシーに配慮している。やわらかな自然光と和紙や染色されたシナ合板の壁に包まれた空間とすることで、穏やかに診察を待つことができる。
処置と診察、スタッフスペースを効率よくつなぐことで、動線の短縮をはかり、一方で患者への目配りがしやすい配置にすることによって、スタッフにとっても、気持ちのゆとりを生み出すことができるような構成を心掛けた。