この病院は1986年現在地に移転新築(以下;1期棟)され’98年分院の病床数を本院に集約することを含め増床することを機に増改築(以下;2期棟)された。従来から地域医療に熱心に取り組んできた病院であるが、その間の10年余の間に特養護老人ホ-ム、老人保険施設が併設され、高齢者医療福祉の分野でも展開が図られてきていた。増改築に際して、健診センタ-の整備、地域リハや周産期センタ-の整備に加え、「日本一小さな」6床の緩和ケア病棟が設置され、在宅医療と連携した終末期医療にも取り組むことになり、一層地域の医療ニ-ドに対応した医療・保健・福祉のセンタ-としてその役割を充実させている。

1期棟は、堂塔基壇型で地階~2階が病棟以外の部門、3,4階が病棟という構成である。2期棟では、従来の病院の基本的な部門構成を変えることなく拡張整備を図ることとし、病棟を含む主増築棟の他各所で小規模増築を行った。病院の成長は、新たな機能の付加もさることながら機能の拡大を伴うことから必然的な対応といえよう。ベッド数、床面積とも当初の約1.8倍と、増改築という響き以上に、病院の再生というべき計画である。

移転新築された病院は、第1回病院建築賞(現;医療福祉建築賞)を受賞しており、その際評価された新しい試みのひとつ;「ナ-スコ-ナ-」(=看護拠点の分散化)が看護活動の中で定着しており、その発展形としてスタッフステ-ションを中心としてふたつのナ-スコ-ナ-が連結するような形態、すなわち分散と相互連携を図る形で発展的に踏襲することとした。

敷地は、東に八ヶ岳・蓼科、南に中央アルプスを望む風光明媚な環境に恵まれている利点を生かし、病室等からの眺望を享受できるよう配慮とするとともに、屋上を利用した展望テラスを設け、雄大なパノラマを楽しむ憩いの場が患者や家族に潤いを与えている

Award

  • 医療福祉建築賞1991【旧称:1991年(第1回)病院建築賞】/日本医療福祉建築協会
  • 第20回SDA賞(1986)/日本サインデザイン協会

受賞歴→

掲載誌

  • 会誌 『MMRC』 臨時増刊号(1999.10)
  • 会誌 『病院建築』 No.72(1986・夏)
  • 雑誌 『病院』 増刊号 Vol.50 No.12(1991)
  • 雑誌 『病院』 Vol.45 No.11(1986.11)
  • 雑誌 『病院設備』 Vol.30 No.2(1987)
  • 雑誌 『建築画報』 Vol.23 特集・病院建築