長崎市を中心に医療・福祉を担う社会医療法人春回会の本拠地「井上病院」の再構築プロジェクトです。市中心部の国道沿いに立地する既存病院の並びに「外来棟」を新築し外来部門を拡張、眼科は手術室を備えたアイセンターに生まれ変わりました。
■地域の拠りどころとなる、アプローチしやすい建築
国道側から1階の外壁を引き、上階が庇代わりとなる入りやすいエントランスとしました。外来が3層(1階~3階)にまたがるため、建物に入ると広がりのある待合を介して受付やエレベーターが目に入る、わかりやすい空間構成とし、安心して受診できる環境としました。
外観は優しい色合いのタイルに、西日や騒音対策としてスリット状の窓を設け地域の顔となるデザインとし、内観は暖かみを感じる自然素材を取り入れました。
■質の高い医療に対応する環境
診察・処置室が並ぶ2・3階は同様のつくりのブースを並べ、多種多様な診療科に柔軟に対応できるようにしました。5階アイセンター外来はエレベーターを降りると全体を見渡すことができ、コントラストを意識した色彩計画として視認性の良い空間としました。
感染症対策として玄関や縦動線は患者用と病院スタッフ用を明確に分け、玄関脇には発熱患者に対応できる予備診察室を設けました。
専門的な検査室や手術室のある既存本館とは専用の通路で連携を図る計画としました。
■将来の変化に柔軟に対応する病院
6階は多用途に使用できるホールを設け、災害時には診療スペースとして活用できる設備を準備しました。将来病院のリニューアルなどをする際にはこのホールを一時的に別機能に置き換えることも想定しています。