4床室を中心とした既存特別養護老人ホーム(96床)へのユニット型60床(内10床はショートステイ)の増築は、当初別棟で計画が進んでいた。しかし、1つの施設である以上厨房や事務機能が離れていることの弊害も多く、結果的に前面の芝生広場への増築となった。長くさわやかナーシングビラのシンボルであった芝生広場の記憶を残すように半屋外的用途として使えるエントランスホールを設け広場に一体化させた。玄関を別々に持つユニットには2ユニットの中心にスタッフの拠点を置き、家庭的雰囲気を大事にしながらも効率的な介護が出来るよう配慮している。折しも計画途中に介護保険制度改正がありユニットケアにあっても入居者の重介護化は避けられない中、居室においては部屋の形を正方形に近くしベッド配置の自由度を高くする、2方からアプローチできる便所の提案など細部に入居者の自立を助ける工夫を施している。
ユニットケアの居室が加わることにより、このビラには利用者の方々に様々な選択肢が用意された。これを最大限利用して高齢者の方々が施設に入られても生き生きと自分らしい生活が続けられることを期待している。