地域から離れた環境に建っていた既存ホームを小さな集落に隣接した人里に戻し、地域と共に暮らす施設として移転新築した計画です。15,000㎡もの広さの敷地を活かし、2階建てのユニット=家が大地に大らかに広がるようなレイアウトを採用しました。冬が長く厳しい地域のため、外部に出なくとも四季の変化、地域の人たちの営みを感じられるよう、各ユニットのリビングは外部を大きく望めるような配置としました。

建物の中心である地域交流ホールに各ユニットの玄関、事務室、相談室、喫茶コーナー、理美容室、機能回復訓練室、医務室などが面する配置は、利用者の家族や地域住民だれもが気軽に立ち寄れる街の一部のようなつくりを意図したものです。  

各ユニットは、個室を3室程度のまとまりで配置することにより、スタッフの見守りがしやすく、入居者にとってはプライバシーを確保しつつも人の顔が見え、かつ地域の中で暮らしていることが実感できる家を実現しています。

デイサービスの活動室は、利用者の多様な活動に対応できるよう、いくつかの空間に分けられるよう設えました。 

高齢化の進む地域の中で、利用者・家族・スタッフそして地域住民にとっても安心できる拠り所となる建築を目指しました。