虹の松原を擁する豊かな自然環境に恵まれた唐津で長年地域医療に取り組まれてきた進藤病院の移転新築計画です。既存病棟では児童思春期やうつ等の患者受け入れに対応しづらく、老朽化した入院環境を改善すべく、近隣徒歩5分のグランドに265床を移転したプロジェクトです。早期診断・治療を促す環境のために「敷居の低い病院」を心がけ、多様な精神疾病に細やかな対応ができる環境づくりを目指しました。

コミュニケーション能力の低下する患者さんが自然な形でそれを取り戻すことができるよう大小様々な居場所を選択できるようにしています。特に個室型4床室も含め、実質的には全室個室の環境を用意しました。病棟は1単位60床を基本に南と北の2グループ 各30床に分けた運用ができ、チームナーシング、病状、病名、性別などにより容易にゾーニング分けを行い、グループ毎に閉鎖・開放の処遇も選択できるように配慮しています。スタッフにとっても治療のための選択肢が多く、地域に帰る為の病棟環境を用意しました。

桜並木に面するエントランスは、外部と連続した2層吹抜けの開放的なモールへと続き、そこから小さく分解した待合空間へと自然に別れ、外来待合のプライバシーの確保と属性区分を容易にする構成としています。