この建物は、盛岡医療生活協同組合を母体とした「特別養護老人ホームをつくる会」が募金を募り、市民の協力によって建てられた建物です。
地域に開かれた建物となるよう、設計当初から組合員、地域の方々の要望を取り入れながら形にしていきました。
1階には地域交流ホールや喫茶室を設け、ホールは南側の広場と連続して利用できるオープンなつくりとしています。外観は、これからの高齢者施設として、白とコンクリート打放し調を基調とした集合住宅を思わせるモダンな雰囲気としながらも、県産材の木材を活用したり、周辺のスケールと馴染むよう壁面にパターンをつけるなどして、親しみやすい雰囲気としました。居室は全室介護のしやすいトイレを持つ個室とした上で、限られた面積の中でもベッドや家具の配置に自由度をもたせられるようにするなどの配慮をしました。10人ずつの単位で構成されたユニットは、リビングや談話コーナーなど、居場所を多く設けることで、そのひとらしい暮らし方ができるような空間作りを心がけ、内装にも、杉の単板積層材、赤松合板やシナ合板などの木材を多く用い、ぬくもりある設えとしています。
この特養が、利用者にとって豊かな暮らしを支えると同時に、近隣住民にも多く活用され地域の中で育っていくことを願っています。