揖保川病院は、兵庫県西部の中核を担う精神科病院です。外来診療・管理部門と100床の病棟からなる新第1病棟の増築と既存棟改修を行い、創立60周年となる202212月に完成を迎えました。医療ニーズの変化に応え、増加する高齢者・認知症患者にも対応すべく、患者の個別性を⼤切にしながら最新の精神医療を地域に届けるため、機能拡充と療養環境の改善を⾏いました。

誰もが安心して訪れやすく地域に帰るための病院として、外来待合は、プライバシーに十分配慮しつつ開放的な空間とし、既存病棟1階は全面改修してリハビリと地域交流の拠点として整備し、治療から社会復帰までの機能をメインアプローチの周りに集約しました。

揖保川に沿う増築棟の先端は地域の建物で用いられてきた焼杉外壁を思わせる金属板シリンダーとし、地域に親しまれる建築を目指しました。

病棟では⾼齢化の進む入院患者への配慮や早期退院を実現するための設えとして、個の空間を⼤切にする病室と、認知症患者でも自力で向かう事を促すわかりやすいトイレ・水廻りを病室の先に設けています。敷地形状を生かして揖保川の景観を取り込み、多様で選択性のある居場所を設けました。