福島県本宮市の豊かな自然の中に建つ70床の特別養護老人ホームにユニット型40床を別棟として増築した計画です。

この敷地では、施主の母体であるあさかホスピタルグループが、医療や介護、福祉の枠組みを越えて共同する、「共生事業チルコロ」という活動を展開しています。世代や障害の有無に関係なく様々な人が自然の中で農業や食を通して、学ぶ、遊ぶ、働くといった多様な活動を行っています。

その中に建つ施設として、様々な活動を身近に感じ、豊かな自然に包まれ穏かに暮らすことのできる環境をつくることが課題となりました。

そこで、日頃ウマやヤギが草を食むために放牧される調整池の斜面に沿う形で木造2階建(準耐火)の建物を配置しました。2層になる建物を1層分沈ませ、勾配屋根の軒先高さを抑えることで、圧迫感を軽減させ平屋の既存建物となじみを良くし、建物の平面形態に少し角度をつけることで、地形との一体感を図り、この土地に相応しい温かみのある建築・空間を実現することが出来ました。

また、厳しい寒さとなるこの地域の木造建築の熱環境対策として、十分な断熱とEHPによる24時間床下暖房を1階床下に組み、穏かでストレスのない環境を作り出しました。