A棟

非常に細長い敷地に病院機能を配置しています。建物ファサードは個室的4床室の凸凹を利用して、壁面を分割して住宅地に溶け込むようなデザインとし、これにより街並みを形成することを意識しました。

A棟 外来窓口と待合がギャラリーストリートに面する

1階には病院のメイン動線となるギャラリーストリートを外部の遊歩道と並行して設け、内部のプライバシーを守りつつお互いの様子が垣間見えるように配慮しました。さらに内側にはスタッフ専用動線を設け、利用者とスタッフとの動線を整理しています。

A棟 ギャラリーストリートから遊歩道が垣間見える

2、3階は病棟です。細長い敷地への配置は動線が長くなりがちですが、スタッフステーションから各所へできるだけ目の届く配置構成をとりました。病棟入口の手前にはラウンジ空間を設け、病棟内外をつなぐ中間領域とし、運用に応じて幅広く活用できるスペースとしています。

病棟はオープンなスタッフステーションを中心に構成される

A棟 建具を開くと多床室のような構成の個室群

B棟

デイケアとスタッフの更衣室機能が入ります。諸々の事情で病院と一体にすることができませんでしたが、大きすぎないスケールの独立した建物は、地域の利用者が通う身近な「デイケア」に相応しいかたちになったと思います。屋根付きの外部通路で病院とは行き来でき、その道中には就労支援事業の1つである農作物を栽培する畑が広がっています。

デイケアの入るB棟 手前には畑が広がる

C棟

3棟のうち1番はじめに竣工した建物です。1階のカフェは前面道路である品川道路や病院側に向かって開き、誰でもが気軽に立ち寄れる設えとしました。就労支援の1メニューを担うこのカフェは本格的な食事やコーヒーを提供し、今では地域のお子さん連れのお母さんたちや年配の方々など多くの方がランチやお茶に訪れます。1・2階には就労支援の作業所や拠点、地域生活支援センター、2階には法人本部と病院幹部、医局、スタッフ等合せた総合スタッフ室、3階にはスタッフの食堂や病院機能の一部である作業療法室が配置され、多種多様な方たちがひっきりなしに行き交いふれあう場となりました。

C棟 1 階のカフェ「空と大地と」


建築概要

共通

所在地: 東京都調布市
建築主: 特定医療法人研精会

A棟

病床数: 156床
構造規模: 鉄筋コンクリート造 地上3階
延床面積: 5,719m²
竣工年月: 2020年5月
撮影: 増田寿夫写真事務所

B棟

施設内容: デイケア、職員更衣室
構造規模: 鉄骨造 地上2階
延床面積: 650m²
竣工年月: 2020年3月
撮影: ゼロワンコーポレーション

C棟

施設内容: 地域生活支援施設・就労支援施設、カフェ、法人本部、病院機能(作業療法室、スタッフ室など)
構造規模: 鉄筋コンクリート造 地上3階
延床面積: 1,542m²
竣工年月: 2019年3月
撮影: 増田寿夫写真事務所

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